2016年8月7日日曜日

舌のおもむくまま 76 泰然自若なお味噌汁




































茄子の味噌汁


おはるが昼餉の支度をした。
手長海老の附焼に粉山椒を振りかけたものと、小胡瓜の糠漬。
それに茄子を丸ごと焙ったのを二つ切りにして濃目の味噌汁へ入れたものだけのもてなしであったが、松崎助右衛門は目を細めて箸を運びつつ、「小兵衛殿よ。おぬしという男は、まったくもって・・・・・・」
「何でござる?」「いい年齢をして、あんな若い女房を側に引き付け、三度三度、かようにうまいものを口にしておるということじゃ」
「何の。他人の事は、よく見えるものでござる」
    【初孫命名「剣客商売」池波正太郎より】
最近夏の暑いときは、茄子の味噌汁をよくいただきます。
水出し昆布だしに鰹粉を入れた即席の出汁に味噌を濃い目に溶きいれ、丸ごと焼いた茄子の焼き皮をはぎ、三つ割にして器に入れ味噌汁を注ぎいれます。今日は三つ葉と辛子を添えました。
めんつゆに一味唐辛子を強めに振り入れたつけ汁に浸した胡瓜、柚子を効かした高野豆腐といった作り置きした定番もの、青椒肉絲、そしておこげの御飯をいただきました。

「剣客商売」の秋山小兵衛のイキな境地には全てにおいて到底およばないですが、食べることに関してだけ(笑)は泰然自若の境地のようです。

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